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時系列の深層異常検知(1):時系列データと異常の種類

1 時間前
読了時間: 5分

概要

製造管理、スマートファクトリー、予知保全などでは、AIやIoTを使う研究と実用化が進んでいます。中でも異常検知(Anomaly Detection)は、データの分析を通じて、通常とは異なる状態を見つける重要な技術です。

Machbaseは時系列データベースを専門とし、大量データの高速な収集・検索に取り組んできました。その基盤技術は、異常検知に必要なデータの保存・処理にも役立ちます。

本稿では、ディープラーニングによる異常検知を考えるための基礎として、時系列データの特徴と異常の種類を紹介します。


時系列データ

まずはデータそのものを見てみましょう。時系列データとは、時間順に並んだ観測値の列です。一定間隔で観測されたデータを例に、2つの観点から特徴を確認します。


時系列分解(Time Series Decomposition)

時系列は、季節成分(Seasonality)、トレンド(Trend)、残差(Remainder)に分けて考えられます。季節成分は一定の周期で繰り返すパターン、トレンドは全体的な増加・減少の傾向です。それらで説明できない不規則な変動を残差と呼びます。


時系列の構成:観測データを季節成分、トレンド、残差に分解した例[1]


気温とガソリンエンジンを例に考えます。なお、どの時間尺度で分析するかによって、季節の変化を季節成分として扱う場合もあります。


例:1時間ごとのソウルの気温

  • 季節成分:昼夜の繰り返しによる気温変化

  • トレンド:天候や季節の移り変わりに伴う、分析期間全体の傾向

  • 残差:季節成分やトレンドで説明できないノイズなどの変動

例:ガソリンエンジンに取り付けた振動センサー

  • 季節成分:吸気、圧縮、燃焼、排気に伴う周期的な振動

  • トレンド:運転状態や経年変化などに伴うセンサー値の長期的な傾向

  • 残差:季節成分やトレンドで説明できないノイズなどの変動

時系列をこれらの成分に分ける作業を時系列分解と呼びます。代表的な表現には、加法モデルと乗法モデルがあります。

加法モデルでは、観測値を季節成分、トレンド、残差の和として表します。乗法モデルでは、これらの積として表します。

加法モデルでは、データの水準が変化しても季節変動の大きさは比較的一定です。乗法モデルでは、水準に応じて季節変動の大きさも変わります。この区別は主に振幅に関するもので、周期そのものが必ず変わるという意味ではありません。

加法モデルと乗法モデル[2]


時系列分解は予測問題を整理するのに役立ちます。異常検知でも、例えばベアリングの劣化に伴って振動の残差の分散が増える、月平均気温のトレンドが通常と異なる変化を示す、一定だった周期パターンが崩れる、といった観点が考えられます。異常を理解するには、時系列を構成する成分を把握することが大切です。


単変量時系列と多変量時系列

次に、観測する変数の数で分けてみます。釜山の気温を予測するとき、過去の気温だけを使う方法が考えられます。風速でも同様です。このように、時間に沿って1つの変数を扱うものを単変量時系列(Univariate Time Series)と呼びます。

一方、天候を考える際は、気温、風速、降水量、湿度などの関係を無視できません。複数の変数を同時に扱い、その相互関係も考慮するものが多変量時系列(Multivariate Time Series)です。


多変量時系列の例:4月27日〜29日の釜山の天気予報(韓国気象庁)


複数の変数の関係を考慮するため、多変量時系列の分析は複雑になります。従来から、単変量ではARIMA(自己回帰和分移動平均)、多変量ではVAR(ベクトル自己回帰)などが使われています。ただし、複雑な非線形の関係を扱う場合などは、これらのモデルだけでは十分に表現できないことがあります。

ディープラーニングの研究が進み、複雑なパターンを学習する方法を、多変量時系列の分析に利用する取り組みも広がっています。


時系列に現れる異常

時系列には、どのような異常があるのでしょうか。分類方法は論文によって異なりますが、ここでは広く使われる3つを紹介します。


点異常(Point Anomaly)

正常なデータの分布から大きく外れる個々の観測値を、点異常、あるいはGlobal Outlierと呼びます。直感的に理解しやすく、多くの研究がある異常の種類です。次の図では、赤い2点がほかのデータから離れており、点異常の例となっています。


点異常の例[3]


文脈異常(Contextual Anomaly)

Conditional Anomalyとも呼ばれます。

値だけを見れば不自然でなくても、時刻や前後の流れなどの文脈を考えると通常とは異なるものです。ある時間帯には特定の値が予想されるのに、別の値が現れる場合などが該当します。


文脈異常の例[4]


集団異常(Group Anomaly)

Collective Anomalyとも呼ばれ、個々の観測値だけなら正常に見える場合があります。

複数の値を一まとまりとして見ると、不自然なパターンが分かります。図では、7月14日から3日間、75ドルの支払いが繰り返されています。1回なら普通でも、同額の決済が何度も続けば調査のきっかけになります。振動センサーでも、短時間では正常に見える値が長期的には上がり続けているなら、機器の点検を検討する必要があるかもしれません。


集団異常:クレジットカード利用の例[4]


以上の3種類を紹介しました。集団異常は、複数の値の関係や長い期間の変化を捉える必要があり、検知が難しい場合があります。VAE、AAE、GANなどのディープラーニングを用いた研究も行われています。スマートファクトリーで異常検知を設計するときは、対象にどの種類の異常が起こり得るかを考慮することが重要です。


まとめ

異常検知の手法は継続的に研究されています。実際に導入するときには、収集環境とデータの特性に合うモデルを選ぶことが重要です。AIとIoTを活用する異常検知は、スマートファクトリーやさまざまな産業の状態監視に役立ちます。

同時に、大量のセンサーデータを収集・保存・分析できる基盤も欠かせません。用途に適した時系列データベースを選ぶことは、そのための重要な判断です。次回も、異常検知に関する内容を紹介します。

お読みいただき、ありがとうございました。


参考文献

 
 
電話
英語
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